倫理・コンプライアンス 入門学習
情報倫理とAI倫理・知的財産・労働と取引の法規・プライバシー・セキュリティ関連法規を学ぶ
情報倫理と技術者倫理
デジタルシティズンシップは、デジタル社会に主体的に参加するための考え方です。新しい技術の倫理的・法的・社会的な課題をELSIといいます。ネット上に残る行動の痕跡デジタルフットプリント、無意識の思い込みアンコンシャスバイアス、他人の個人情報をさらすドクシング、人の関心を奪い合うアテンションエコノミー、投稿を監視・管理するコンテンツモデレーションが範囲です。技術者倫理では、組織の不正を外部に知らせるホイッスルブローイングやパブリックインタレスト(公共の利益)を押さえましょう。
AI倫理とAIのリスク
説明可能なAI(XAI)では、モデル全体の振る舞いを説明する大局説明と、個々の予測の根拠を説明する局所説明を区別します。LIMEやSHAPは、予測に対する各特徴量の影響を示す代表的な手法です。モデルの用途や限界をまとめたモデルカード、人間による監視と最終判断、ヒューマンインザループ(HITL)、責任あるAI、AI利用ポリシーも範囲です。
AIのリスクとしては、生成AIへの機密情報・個人情報の入力、もっともらしい誤りを出力するハルシネーション、自動化されたシステムの出力を過信する自動化バイアス、組織が把握・許可していないAI利用であるシャドーAI、ディープフェイク、低品質なAI生成コンテンツがあふれるAIスロップが挙げられています。
知的財産権
著作権は登録などの手続きなしに創作した時点で発生します(無方式主義)。著作権には、譲渡できない著作者人格権と、譲渡できる著作財産権があり、一定の条件で法人が著作者となる職務著作もあります。AIの学習などで著作物を利用する場面では、情報解析や非享受利用(著作物の表現を楽しむことを目的としない利用)の考え方が重要です。産業財産権には特許権・実用新案権・意匠権・商標権があります。
不正競争防止法の営業秘密として保護されるには、秘密管理性・有用性・非公知性の3要件を満たす必要があります。企業間で共有するデータを保護する限定提供データの要件は、限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性です。
労働・取引関連法規とその他のデジタル関連法規
労働関連では労働基準法、労働者派遣法(偽装請負や二重派遣の禁止)、フリーランス・事業者間取引適正化等法、公益通報者保護法が範囲です。派遣では派遣先が労働者に指揮命令しますが、請負では発注者は受託者の労働者に直接指揮命令できません。民法では、仕事の完成を約束する請負契約と、事務処理の遂行を約束する準委任契約を区別します。取引では中小受託取引適正化法(取適法)、NDA、AI・データの利用に関する契約ガイドラインを押さえましょう。
その他のデジタル関連法規としてAI基本法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)、デジタル社会形成基本法、電気通信事業法、情報流通プラットフォーム対処法、電子帳簿保存法、インボイス制度、PL法などが挙げられています。
プライバシー関連法規
個人情報保護法と安全管理措置、マイナンバー法、プライバシーマークの基準となるJIS Q 15001、EUの一般データ保護規則(GDPR)が範囲です。GDPRでは忘れられる権利(消去権)や個人データの越境移転の規制が重要で、EUが十分な保護水準にあると認めた国・地域には十分性認定により移転が認められます。
手法としては、本人の同意を得てから扱うオプトインと、本人が拒否するまで扱うオプトアウト、個人情報を扱うシステムの影響を事前に評価するプライバシー影響評価(PIA)、同じ属性の組合せを持つレコードがk件以上になるよう加工するk-匿名化、同意を管理する同意管理プラットフォーム(CMP)、プライバシーの脅威モデリング手法LINDDUNを押さえましょう。
セキュリティ関連法規
刑法では、正当な理由なくコンピュータウイルスを作成・提供などする行為を罰する不正指令電磁的記録に関する罪(ウイルス作成罪)、電子計算機使用詐欺罪、電子計算機損壊等業務妨害罪が範囲です。不正アクセス禁止法は、他人のIDとパスワードを無断で使うなどの不正アクセス行為だけでなく、他人のIDとパスワードを無断で第三者に提供するなどの不正アクセス行為を助長する行為も禁止しています。
このほかサイバーセキュリティ基本法、広告メールの送信にオプトイン方式を求める特定電子メール法、能動的サイバー防御を定めたサイバー対処能力強化法、電子署名法、セキュリティクリアランス制度を定めた重要経済安保情報保護法、経済安全保障推進法(基幹インフラ制度)が出題範囲です。
- 大局説明=モデル全体、局所説明=個々の予測(LIME・SHAP)
- 自動化バイアス=自動化システムの出力の過信、シャドーAI=組織が把握していないAI利用
- 著作権は無方式主義、著作者人格権は譲渡できない
- 営業秘密の3要件:秘密管理性・有用性・非公知性
- 請負では発注者は受託者の労働者に直接指揮命令できない
- k-匿名化:同じ属性の組合せを持つレコードをk件以上にする
- 不正アクセス禁止法は、他人のIDとパスワードの無断提供(助長行為)も禁止