PMBOK第7版 入門学習

マネジメント入門学習
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PMBOK第7版 入門学習
マネジメント区分 Unit 2

PMBOK第7版 入門学習

12原理・8ドメイン・EVM・リスクマネジメント・スクラムを体系的に学ぶ

📚 6章構成✏️ 確認テスト 7問⏱ 目安30分

PMBOK第7版の全体像と第6版からの転換

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は PMI(プロジェクトマネジメント協会)が発行するプロジェクトマネジメントの標準体系です。第7版(2021年)の最大の変化は、第6版の「プロセス群×知識エリア」の体系から、「12のプロジェクトマネジメント原理」と「8つのパフォーマンスドメイン」を中心とした原理・原則ベースへの転換です。成果物の完成よりもステークホルダーへの価値提供を重視する姿勢が核心です。

12のプロジェクトマネジメント原理

①誠実さ・倫理観・誠実さ ②ステークホルダーへの配慮 ③チームの育成 ④価値への焦点(成果物より価値) ⑤システム思考(全体最適) ⑥リーダーシップ ⑦テーラリング(状況適応) ⑧品質 ⑨複雑さへの対応 ⑩リスク ⑪適応性・回復力(レジリエンシー) ⑫将来の変化への準備。テーラリングとは、プロジェクトの特性・規模・組織・業種に応じてマネジメントアプローチをカスタマイズすることを指します。

8つのパフォーマンスドメイン

①ステークホルダー(関係者の特定・関与・期待管理) ②チーム(役割・コミュニケーション・協働) ③開発アプローチとライフサイクル(予測型・反復型・アジャイル・ハイブリッドの選択) ④計画(成果とスケジュールの策定) ⑤プロジェクト作業(プロセス管理・変更・調達) ⑥デリバリー(価値の実現・成果物の完成) ⑦測定(指標によるパフォーマンス把握) ⑧不確かさ(不確実性・リスク・複雑さへの対応)の8領域です。

EVM(アーンドバリューマネジメント)の計算

EVMはコストと進捗を統合管理する手法で、3つの基本指標を使います。
PV(Planned Value:計画価値):その時点に計画されていた作業の価値
EV(Earned Value:達成価値):実際に完了した作業の計画上の価値
AC(Actual Cost:実績コスト):実際に費やしたコスト

派生指標:SV=EV−PV(マイナス=遅延)、CV=EV−AC(マイナス=コスト超過)
SPI=EV÷PV(1未満=遅延)、CPI=EV÷AC(1未満=コスト超過)
EAC(完成時コスト見積)の代表的な計算式:EAC=BAC÷CPI(今後も同じ効率が続く場合)

リスクマネジメントの4プロセスと対応戦略

リスクマネジメントは①識別(ブレインストーミング・チェックリスト・インタビューで洗い出す)→②定性的分析(発生確率×影響度でリスクを分類・優先付け)→③定量的分析(モンテカルロシミュレーション等で数値化)→④対応計画と監視の4段階で実施します。リスク対応戦略は4種類:回避(リスクをなくす計画変更)・転嫁(保険・契約でリスクを第三者に移転)・軽減(発生確率または影響度を低減)・受容(小さなリスクはそのまま受け入れ)です。

アジャイル・スクラムとハイブリッドアプローチ

スクラムは最も広く使われるアジャイルフレームワークで、3役割:プロダクトオーナー(PO)(価値の最大化・バックログ管理)・スクラムマスター(SM)(プロセスのファシリテーター・障害除去)・開発チーム(自己組織化した実装チーム)、5イベント:スプリント計画→デイリースクラム→スプリントレビュー→レトロスペクティブ→スプリント、3作成物:プロダクトバックログ・スプリントバックログ・インクリメントで構成されます。大規模プロジェクトではウォーターフォール(計画は予測型)とアジャイル(実装はスプリント型)を組み合わせたハイブリッドアプローチが増えています。

重要ポイントまとめ
  • PMBOK第7版:プロセス群→12原理+8パフォーマンスドメインへ転換
  • テーラリング:プロジェクト特性に合わせてアプローチをカスタマイズ
  • EVM基本:PV(計画)・EV(達成)・AC(実費)の3指標
  • SV=EV−PV(マイナス=遅延)、CV=EV−AC(マイナス=コスト超過)
  • SPI=EV÷PV、CPI=EV÷AC(1未満が問題)
  • EAC=BAC÷CPI(今後も同効率が続く場合の完成時コスト見積)
  • リスク対応:回避・転嫁・軽減・受容の4戦略
  • スクラム:3役割(PO/SM/開発)・5イベント・3作成物
✏️ 確認テスト(全7問)
問 1
PMBOK第7版が第6版から大きく変わった点として最も適切なものはどれか。
ア. プロセス群×知識エリアの体系から12原理と8パフォーマンスドメインへの転換
正解です。第7版では第6版の「5プロセス群×10知識エリア」の体系を廃止し、12の原理と8つのパフォーマンスドメインを中心に「成果物の納品」より「価値の提供」を重視するアプローチへ転換しました。
イ. アジャイル手法の完全廃止とウォーターフォールへの一本化
逆です。第7版はアジャイル・ハイブリッドを含む多様なアプローチを尊重しており、特定手法を廃止していません。
ウ. プロジェクト管理の責任をPMからスポンサーに移管
責任移管ではなく、マネジメントアプローチの思想転換です。
エ. ガントチャートとWBSの使用が正式に禁止された
ガントチャート・WBSは引き続き有効なツールです。
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問 2
EVMにおいてCPI(コスト効率指数)が0.8の場合、プロジェクトの状態として正しいものはどれか。
ア. 計画より20%コストを節約できており効率が良い
CPI=EV÷ACで1を下回る場合はコスト超過(非効率)です。0.8はAC>EVを意味し、1ドルの価値を生むのに1.25ドルかかっている状態です。
イ. 1円の価値を生み出すために1.25円を費やしており、コスト超過の状態
正解です。CPI=EV÷AC=0.8は、1単位の価値(EV)を生むために1/0.8=1.25単位のコスト(AC)がかかっている状態です。1を下回るのでコスト超過です。
ウ. スケジュールが20%遅延している状態
スケジュール効率を示すのはSPI(=EV÷PV)です。CPIはコスト効率を示します。
エ. プロジェクトが完成しており追加コストはかからない
CPI=0.8はコスト超過を示す指標であり、プロジェクト完了を意味しません。
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問 3
EVM指標でSV(スケジュール偏差)がゼロ、CV(コスト偏差)がマイナスの場合の状態として正しいものはどれか。
ア. スケジュール通りだがコストが超過している
正解です。SV=EV−PV=0はスケジュール通り(遅れも進みもなし)、CV=EV−AC<0はAC>EVなのでコスト超過を示します。
イ. スケジュールが遅れておりコストも超過している
SV=0はスケジュール通りです。SV<0がスケジュール遅延を示します。
ウ. スケジュール通りでコストも計画内に収まっている
CV<0はコスト超過です。計画内に収まっているのはCV=0またはCV>0の場合です。
エ. スケジュールが進んでおりコストも節約できている
SV=0はスケジュール通り(進んでいない)、CV<0はコスト超過です。
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問 4
リスク対応戦略の「転嫁(Transfer)」の説明として正しいものはどれか。
ア. リスクを認識したうえで特別な対応を取らずそのまま受け入れる
これはリスクの「受容(Accept)」の説明です。
イ. 保険契約や業務委託契約でリスクの財務的影響を第三者に移転する
正解です。転嫁はリスクそのものをなくすのではなく、発生した場合の財務的損失を保険・外部委託・保証契約などで第三者に負担させる戦略です。
ウ. リスクが発生する原因を排除しリスク自体をなくす
これはリスクの「回避(Avoid)」の説明です。
エ. リスクの発生確率または影響度を下げる対策を講じる
これはリスクの「軽減(Mitigate)」の説明です。
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問 5
スクラムのイベント(セレモニー)として含まれないものはどれか。
ア. スプリント計画(Sprint Planning)
スプリント計画はスクラムの5イベントの1つです。
イ. デイリースクラム(Daily Scrum)
デイリースクラムはスクラムの5イベントの1つです。
ウ. カイゼンワークショップ
正解です。カイゼンワークショップはスクラムの公式イベントではありません。スクラムの5イベントは①スプリント②スプリント計画③デイリースクラム④スプリントレビュー⑤スプリントレトロスペクティブです。
エ. スプリントレトロスペクティブ(Sprint Retrospective)
レトロスペクティブはスクラムの5イベントの1つで、チームの改善を議論します。
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問 6
PMBOK第7版の「テーラリング」の説明として正しいものはどれか。
ア. プロジェクト予算を状況に応じて削減する手続き
テーラリングは予算削減ではなく、プロジェクトの特性に合わせてマネジメントアプローチをカスタマイズすることです。
イ. プロジェクトの規模・業種・組織・リスク特性に応じてプロセスや手法を最適化すること
正解です。PMBOK第7版が特に強調するテーラリングは「どんなプロジェクトにも万能な唯一のアプローチはない」という考えに基づき、状況に応じて最適なマネジメント手法を選択・組み合わせることです。
ウ. チームメンバーのスキルを評価する360度フィードバックの手法
スキル評価手法ではありません。
エ. 海外プロジェクトで現地文化に合わせてコミュニケーションを調整すること
文化的適応はテーラリングの一面ですが、PMBOK第7版のテーラリングの本質はマネジメントアプローチ全体の最適化です。
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問 7
BAC(完成時総予算)=1,000万円、CPI=0.8の場合、EAC(完成時コスト見積)として正しいものはどれか(今後も同じ効率が続くと仮定)。
ア. 800万円
EAC=BAC÷CPIです。1,000÷0.8=1,250万円が正解です。CPIが1未満なのでEAC>BACとなります。
イ. 1,000万円
EAC=BAC(CPIが1の場合)ですが、CPI=0.8なのでコスト超過が見込まれます。
ウ. 1,250万円
正解です。EAC=BAC÷CPI=1,000÷0.8=1,250万円。CPIが0.8(1未満)なので、現在のペースが続くと完成時には計画より250万円多くかかる見込みです。
エ. 1,800万円
EAC=BAC÷CPI=1,000÷0.8=1,250万円です。1,800万円にはなりません。
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