「プロフェッショナルデジタルスキル試験(PD試験)」は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2027年度より開始する新しいIT国家資格です。応用情報技術者試験をはじめとする現行の情報処理技術者試験は2026年度をもって終了し、PD試験3区分(マネジメント・システム・データ・AI)へ再編されます。2026年7月にはシラバスVer.0.2が公開され、出題範囲の全体像が明らかになりました。
プロフェッショナルデジタルスキル試験(PD試験)とは
プロフェッショナルデジタルスキル試験(Professional Digital Skills Test、略称:PD試験)は、IPA主導のIT国家資格大改革の中核となる新試験です。2025年5月に公表された「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書」を政策的根拠として、従来の試験体系が抜本的に見直されました。
PD試験は以下の3つの区分で構成されます。
- PD(マネジメント):データ・デジタル技術を活用するプロセスのマネジメントに関する専門試験。旧ITストラテジスト・プロジェクトマネージャ・応用情報に相当。
- PD(システム):システムの要件定義・アーキテクチャ設計・開発・運用を主導する専門試験。旧システムアーキテクト・ネットワークスペシャリスト・応用情報に相当。
- PD(データ・AI):データドリブンな活動を支える基盤構築の専門試験。旧データベーススペシャリストに相当(シラバス準備中)。
なぜ新しい試験が必要なのか:創設の背景
デジタル化の急速な進展とスキルギャップ
AI・クラウド・データサイエンス・サイバーセキュリティといった技術分野が急速に発展する中、企業のDX推進が加速し、ITエンジニアに求められるスキルセットは従来とは大きく変化しています。一方、現行の情報処理技術者試験は1990〜2000年代に設計された体系をベースとしており、現代のデジタル社会が求めるスキルと試験内容にズレが生じていました。
試験制度の大転換ポイント
- 現行の応用情報・高度試験(8区分)を3区分(PD試験)に大括り化
- 年2回の一斉試験方式からCBT(随時受験)方式へ全面移行
- AIコーディング支援・生成AI活用・ゼロトラストなど最新技術を出題範囲に明示
- エンジニアだけでなくDX推進担当者やビジネス人材も対象に拡大
新試験制度の全体像(2027年度〜)
2027年度から開始する新試験体系は、下表の8区分で構成されます。
| レベル | 試験区分 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 基礎 | ITパスポート試験(内容変更) | ビジネスパーソンに求められるデジタルリテラシーの基礎評価 |
| 基礎 | データマネジメント試験(新設) | データ・AIを効果的に利活用するデータマネジメントの基本評価 |
| 基礎 | 情報セキュリティマネジメント試験(継続) | 組織の情報セキュリティ活動の基本評価 |
| 基礎 | 基本情報技術者試験(継続) | ITエンジニアとしての基本知識評価 |
| プロフェッショナル | PD(マネジメント)試験(新設) | デジタル戦略・DX推進・プロジェクト管理の専門知識 |
| プロフェッショナル | PD(データ・AI)試験(新設) | データドリブン活動を支える基盤構築の専門知識 |
| プロフェッショナル | PD(システム)試験(新設) | システム設計・開発・運用を主導する専門能力 |
| プロフェッショナル | 情報処理安全確保支援士試験(一部変更) | サイバーセキュリティ対策の専門人材認定 |
PD試験の試験形式・科目構成
PD試験(3区分共通)の試験形式はすべてCBT(Computer Based Testing)方式で、以下の科目構成となっています。
| 科目 | 内容 | 試験時間 | 問題数 | 形式 |
|---|---|---|---|---|
| 科目A-1 | 共通知識(3区分共通) | 90分 | 60問 | 四肢択一(CBT) |
| 科目A-2 | 専門知識(領域別) | 120分(合算) | 23問 | 四肢択一(CBT) |
| 科目B | 技能・実務応用(領域別) | 12問 | 記述・選択混在 |
科目A-1は3区分に共通する基礎知識(ITパスポートや基本情報の延長線上)を問う科目で、シラバスは現在準備中です。科目A-2と科目Bは各領域固有の知識・実務スキルを120分・合計35問で測定します。
応用情報技術者試験(AP試験)との違い
現行試験の終了スケジュール
応用情報技術者試験は2026年度(2027年春試験)をもって終了予定です。IPAが2026年6月に公開したシラバス(案)で、現行試験の廃止と新試験への移行方針が明示されました。2026年度中に現行試験の受験を検討している方は早めの計画が必要です。
| 比較項目 | 応用情報技術者試験(現行) | PD試験(2027年度〜) |
|---|---|---|
| 開始・終了 | 〜2026年度末で終了予定 | 2027年度夏〜秋より開始予定 |
| 試験方式 | 年2回・一斉ペーパー試験 | CBT(随時受験) |
| 区分数 | 1区分(AP) | 3区分に分化(M・S・D) |
| 対象者 | ITエンジニア中心 | エンジニア+ビジネス・DX人材 |
| 新技術対応 | 限定的 | 生成AI・ゼロトラスト・DevOps等を明示 |
| 問題形式 | 午前(四肢択一)+午後(記述) | 科目A-1(60問)+科目A-2+B(35問) |
実施スケジュール
- 2026年6月30日:PD(マネジメント)・PD(システム)シラバス Ver.0.1公開
- 2026年7月31日:シラバス Ver.0.2に更新(科目A-2の出題範囲細目を追加)
- 2026年夏を目標:科目A-1(共通)・PD(データ・AI)シラバスの公開予定
- 2026年度末まで:現行の応用情報技術者試験・高度試験が継続実施
- 2027年度春頃:ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報が新制度で開始
- 2027年度夏〜秋頃:PD試験3区分・情報処理安全確保支援士試験が開始予定
今からできる準備
受験する区分を絞り込む
PD試験は3区分あり、それぞれ専門領域が異なります。自身のキャリアや業務内容に合わせて、どの区分を目指すかを早めに決めておきましょう。
- PD(マネジメント):DX推進・プロジェクト管理・IT戦略に関わる方に最適
- PD(システム):システム設計・アーキテクチャ・クラウド・ネットワーク技術者に最適
- PD(データ・AI):データエンジニアリング・機械学習・AIシステム構築に関わる方に最適
現行試験の学習を継続する
応用情報技術者試験で培う基礎IT知識はPD試験でも有効です。特に科目A-1(共通知識)は現行の応用情報午前問題と出題範囲が重なると考えられます。2026年度中に現行試験に挑戦しながら、PD試験への移行準備を進めるのが効率的です。
新技術のキャッチアップ
PD試験のシラバスには、現行試験にはなかった最新技術が多数含まれています。以下の分野を重点的に学習しておくと有利です。
- 生成AI・LLM・プロンプトエンジニアリング・AI駆動開発
- クラウドアーキテクチャ(マルチクラウド・コンテナ・Kubernetes・FinOps)
- DevOps・CI/CDパイプライン・SRE(サイト信頼性エンジニアリング)
- ゼロトラストネットワーク・AIセキュリティ・OWASP Top 10
- DX戦略・OKR・アジャイル・スクラム
まとめ
- PD試験は2027年度夏〜秋より開始するIT新国家資格(CBT方式)
- 応用情報・高度試験は2026年度末で終了し、PD試験3区分に再編
- 3区分:PD(マネジメント)・PD(システム)・PD(データ・AI)
- 試験構成:科目A-1(90分・60問)+科目A-2+B(120分・35問)
- マネジメント・システムのシラバスVer.0.2は2026年7月公開済み
- 現行試験の学習継続+最新技術のキャッチアップが効率的な準備法
シラバスの詳細(出題範囲・技能ターゲット)については、本サイトのシラバス完全解説記事をご覧ください。公式情報はIPA公式ページでも随時確認できます。