IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は2026年6月30日に高度情報技術試験のシラバス(案)を公開し、2026年7月31日にVer.0.2へ更新しました。現時点で出題範囲が明らかになっているのは、高度情報技術マネジメント試験と高度情報技術システム試験の2区分です。この記事では公式シラバスをもとに、高度情報技術試験の出題範囲、技能ターゲット、現行試験との対応関係を詳しく整理します。
※本試験は当初「プロフェッショナルデジタルスキル試験」という仮称で呼ばれていましたが、2026年10月16日に正式名称が高度情報技術試験に決定しました。
シラバスの公開状況(2026年8月時点)
| 試験区分 | 状況 | バージョン | 更新内容 |
|---|---|---|---|
| 高度情報技術マネジメント試験 | ✅ 公開済 | Ver.0.2 | 科目A-2の出題範囲細目を追加(7/31更新) |
| 高度情報技術システム試験 | ✅ 公開済 | Ver.0.2 | 科目A-2の出題範囲細目を追加(7/31更新) |
| 高度情報技術データ・AI試験 | ⏳ 準備中 | ― | 2026年夏公開を目標 |
| 科目A-1(3区分共通) | ⏳ 準備中 | ― | 2026年夏公開を目標 |
現在のシラバスはあくまで「案(Ver.0.2)」の段階にあり、正式版では内容が変わる可能性があります。最新の情報はIPA公式ページで確認してください。
高度情報技術試験の科目構成(3区分共通)
高度情報技術試験はすべてCBT(Computer Based Testing)方式で実施され、次の3科目で構成されます。
| 科目 | 内容 | 時間 | 問題数 |
|---|---|---|---|
| 科目A-1 | 共通知識(3区分共通) | 90分 | 60問 |
| 科目A-2 | 専門知識(領域別) | 120分(合算) | 23問 |
| 科目B | 実務技能(領域別) | 12問 |
高度情報技術マネジメント試験のシラバス
想定される受験者像
データやデジタル技術を利活用するプロセスのマネジメントについて、専門的な知識と技能を備えた人材が対象です。従来のITストラテジスト、プロジェクトマネージャに加え、応用情報技術者試験のマネジメント系スキルをまとめて引き継いだ区分といえます。
科目A-2:専門知識の出題範囲
大分類1:企業と法務
| 中分類 | 主な出題キーワード |
|---|---|
| ビジネス変革の方法論 | Society 5.0、DX、オープンイノベーション、デザイン思考、チェンジマネジメント |
| 経営戦略・デジタル戦略 | SWOT分析、BSC、KGI/KPI、DX戦略、生成AI活用戦略、EA(エンタープライズアーキテクチャ)、TOGAF |
| ビジネスモデル・プロセス | ビジネスモデルキャンバス、BPM/BPR、プロダクトマネジメント、OKR、デジタルマーケティング、CRM |
| サービスマネジメント | JIS Q 20000、SLA、ITIL、インシデント管理、BCP、RTO/RPO |
| プロジェクトマネジメント | WBS、EVA(アーンドバリュー分析)、スクラム、アジャイル、リスク計画 |
大分類3:法務・ガバナンス
| 中分類 | 主な出題キーワード |
|---|---|
| ガバナンス・監査 | コーポレートガバナンス、内部統制(J-SOX/COSO)、DXガバナンス、システム監査基準 |
| 情報セキュリティマネジメント | ISMS(ISO/IEC 27001)、リスクアセスメント、CSIRT、アクセス管理 |
| ビジネス関連法規 | 著作権法、個人情報保護法、電子契約、デジタル庁関連法、AI関連規制 |
科目B:マネジメント区分の技能ターゲット
| 大項目 | 技能ターゲット |
|---|---|
| 組織・ビジネス変革/デジタル戦略 | DX戦略の立案と推進、ビジネスモデル変革、エンタープライズアーキテクチャを活用した組織変革 |
| サービスマネジメント | ITサービスの設計と導入、SLAの設定と管理、BCP/DRの策定と運用 |
| プロジェクトマネジメント | スコープ・スケジュール・コスト・品質計画の立案、アジャイル手法を用いたプロジェクト推進 |
| ガバナンス・監査 | デジタルガバナンスの整備、情報セキュリティリスクマネジメント、システム監査の計画・実施 |
マネジメント区分の対策は、高度情報技術マネジメント試験の対策記事で詳しく紹介しています。
高度情報技術システム試験のシラバス
想定される受験者像
システムの要件定義、アーキテクチャ設計、開発、運用をリードできる人材が対象です。従来のシステムアーキテクト、ネットワークスペシャリストに加え、応用情報技術者試験のシステム系スキルを統合した区分となっています。
科目A-2:専門知識の出題範囲
大分類4:システム技術
| 中分類 | 主な出題キーワード |
|---|---|
| デジタルサービス・ツール | ERP、SCM、CRM、ECシステム、決済基盤 |
| システムの種類・構成 | デジタルツイン、CPS、IoT、エッジコンピューティング、GPU、冗長化・HA構成 |
| クラウド | IaaS/PaaS/SaaS、マルチクラウド、コンテナ、Kubernetes、FinOps、クラウド移行戦略 |
| ネットワーク | SD-WAN、SASE、TCP/IP、CDN、VPN、ゼロトラストネットワーク |
| データベース | RDBMS、NoSQL、データレイク、SQL、ACID特性、分散DB、シャーディング |
大分類5:開発技術
| 中分類 | 主な出題キーワード |
|---|---|
| システムライフサイクルプロセス | ISO/IEC 12207、ウォーターフォール、要件エンジニアリング、UML、CI/CD、テスト自動化、SRE |
| 開発・運用の方法論 | アジャイル(スクラム・XP・カンバン・SAFe)、DevOps、DDD(ドメイン駆動設計)、マイクロサービス、AI駆動開発(GitHub Copilot等)、RAG、プロンプトエンジニアリング |
大分類6:セキュリティ(システム向け)
| 中分類 | 主な出題キーワード |
|---|---|
| セキュリティ実装・評価 | OAuth 2.0、OpenID Connect、FIDO、WAF、IDS/IPS、AIセキュリティ(プロンプトインジェクション)、OWASP Top 10、SAST/DAST、CVSS |
科目B:システム区分の技能ターゲット
| 大項目 | 技能ターゲット |
|---|---|
| システムアーキテクチャ | 可用性・性能・拡張性・セキュリティ要件の実現、クラウドアーキテクチャ設計、マイクロサービス・コンテナ設計、アーキテクチャ評価・トレードオフ分析 |
| ネットワーク | エンタープライズネットワークの設計、クラウド・ゼロトラストネットワーク設計、ネットワーク障害の分析と対処 |
| フィジカルコンピューティング | IoT・組込みシステムの要件定義と設計、エッジコンピューティング、CPSのセキュリティ設計 |
| システム開発・運用 | アジャイル・DevOpsを含む開発プロセス計画、テスト自動化、CI/CDパイプライン構築、SRE(サイト信頼性エンジニアリング)の適用 |
システム区分の出題範囲については、高度情報技術システム試験の出題範囲記事も参考になります。
高度情報技術データ・AI試験のシラバス
高度情報技術データ・AI試験のシラバスは現在準備中で、2026年夏の公開が目標とされています。受験者像は「データドリブンな活動を支える基盤構築に関する専門知識・技能を持つ人材」と定義されており、データエンジニアリング、機械学習、AIシステム構築、データガバナンスが中心領域になる見込みです。公開され次第、本記事を更新します。
現行試験と新試験の対応表
| 現行試験(〜2026年度末) | 新試験(2027年度〜) |
|---|---|
| 応用情報技術者試験 | 高度情報技術マネジメント試験・高度情報技術システム試験・高度情報技術データ・AI試験のいずれかへ再編 |
| ITストラテジスト試験 | 高度情報技術マネジメント試験に統合 |
| プロジェクトマネージャ試験 | 高度情報技術マネジメント試験に統合 |
| システムアーキテクト試験 | 高度情報技術システム試験に統合 |
| ネットワークスペシャリスト試験 | 高度情報技術システム試験に統合 |
| データベーススペシャリスト試験 | 高度情報技術データ・AI試験または高度情報技術システム試験に統合 |
| 情報処理安全確保支援士試験 | 継続(一部変更) |
シラバスから見えてくる学習のコツ
高度情報技術マネジメント試験を受ける方へ
- DXと生成AIを経営に生かした事例や、戦略フレームワーク(TOGAF、DX評価指標)を重点的に押さえる
- プロジェクトマネジメントは、アジャイル(スクラム)と伝統的手法(EVA、WBS)の双方が問われる
- デジタル関連の法規(AI規制の動向、個人情報保護法の改正など)といった最新の法制度を把握しておく必要がある
- サービスマネジメント(ITIL・SLA・BCP)は、実務事例の問題として科目Bに出題される可能性が高い
高度情報技術システム試験を受ける方へ
- クラウドアーキテクチャ(Kubernetes・コンテナ・FinOps・マルチクラウド)の理解は欠かせない
- AI駆動開発(GitHub Copilot等のAIコーディング支援、プロンプトエンジニアリング)が正式に出題範囲へ入った点が最大の特徴
- ゼロトラストネットワーク・AIセキュリティ(プロンプトインジェクション対策)など最新のセキュリティ技術は必須
- DevOps・SREの考え方と実践(CI/CDパイプライン設計、テスト自動化)を体系的に学ぶ
- 旧ネットワークスペシャリスト試験レベルのネットワーク知識(SD-WAN・SASE・BGP)も引き続き重要
学習した内容は、高度情報技術試験 問題演習道場で問題を解きながら確認すると定着しやすくなります。
この記事のまとめ
- 高度情報技術試験のシラバスVer.0.2は、2026年7月31日にIPAから公開済み(マネジメント・システムの2区分)
- 科目A-1(共通・60問)+科目A-2(専門知識・23問)+科目B(技能・12問)の3科目構成
- 生成AI・AI駆動開発・AIセキュリティ・ゼロトラストなど最新技術が正式に出題範囲へ追加された
- 現行の応用情報・高度試験は2026年度末で終了し、2027年度夏〜秋より高度情報技術試験が開始予定
- データ・AI区分と科目A-1のシラバスは2026年夏公開予定
試験の基本情報は、高度情報技術試験とは?概要解説記事もあわせてご覧ください。公式シラバスのPDFは、IPA公式サイトのシラバス公開ページからダウンロードできます。