IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の試験制度見直しによって、応用情報技術者試験(「応用情報処理技術者試験」と呼ばれることもあります)は2026年までの実施をもって現行の形での役目を終え、高度試験とあわせて新しい「高度情報技術試験」へ再編されます。
※本試験は当初「プロフェッショナルデジタルスキル試験」という仮称で呼ばれていましたが、2026年10月16日に正式名称が高度情報技術試験に決定しました。
「もう持っている応用情報の資格は無効になるの?」「会社の資格手当はどうなる?」「勉強の途中だけど、このまま続けていい?」――廃止のニュースを受けて、こうした疑問を抱えている方は多いはずです。この記事では、まず廃止までの流れを確認したうえで、よくある疑問にQ&A形式で答えていきます。
なお、資格手当などの社内制度の扱いは勤務先によって異なります。試験制度の最新情報は、必ずIPAの公式サイトで確認してください。
先に結論:応用情報は「消える」のではなく「引き継がれる」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 応用情報技術者試験 | 2026年までの実施をもって、現行の形式では終了予定 |
| 後継となる試験 | 高度情報技術試験 |
| 新試験の開始時期 | 2027年夏〜秋ごろの予定 |
| 再編の対象 | 応用情報技術者試験 + 高度情報処理技術者試験 |
| 試験区分 | マネジメント/システム/データ・AI の3区分 |
| すでに得た合格実績 | 一般に失効せず、引き続き有効 |
大切なのは、応用情報が単純に打ち切られるのではなく、高度試験と一緒にひとつの新試験へ再編されるという点です。高度情報技術試験の全体像は高度情報技術試験とはで、応用情報との違いは応用情報技術者試験と高度情報技術試験の比較で詳しく解説しています。
応用情報廃止までのスケジュール
新試験の構成は、全区分に共通する「科目A(共通知識)」と、マネジメント/システム/データ・AIの区分ごとに問われる「科目B」の組み合わせです。廃止から新試験開始までの主な動きは次のとおりです。
| 時期 | 主な動き |
|---|---|
| 2026年6月 | IPAが新試験のサンプル問題とシラバス案を公開 |
| 2026年8月 | マネジメント区分・システム区分の科目Bサンプル問題を追加公開 |
| 2026年9月 | 科目A-1(共通知識)シラバス案Ver.0.1を公開 |
| 2026年10月 | 省令案で正式名称「高度情報技術試験」などが示される |
| 2026年まで | 応用情報技術者試験を現行制度で実施 |
| 2027年4月1日 | 改正後の規則が施行される予定 |
| 2027年夏〜秋 | 高度情報技術試験が開始される予定 |
| 2029年6月30日 | 応用情報・旧高度試験の合格者に関する免除の経過措置の期限 |
具体的な試験日や申込期間はIPAの正式発表を待つ必要があります。開始時期に関する最新情報は高度情報技術試験はいつから?でもまとめています。
なぜ応用情報は再編されるのか
再編の理由は、公開資料からおおむね次の3点に整理できます。詳しくはIPA試験が再編される背景と今やるべきことで解説しています。
- 求められる人材像の変化:応用情報が設計された当時は、幅広い技術知識を持つITエンジニアが重視されていました。現在は生成AIやクラウドの普及を受けて、技術を使ってビジネスを変革できる人材が求められています。新試験のシラバスには、AIトランスフォーメーション(AX)、AIエージェント、ゼロトラストなど、ここ数年で一気に広まったテーマが明確に組み込まれています。
- 応用情報と高度試験の間の段差:従来は、幅広い知識を問う応用情報と、特定分野の深い専門性を問う高度試験との間に大きな開きがありました。新試験では「共通知識(科目A)+区分ごとの専門(科目B)」という構造で、共通の土台と専門性をひとつの試験で問う形に整理されています。
- 区分を役割ベースで再整理:細かく分かれていた高度試験の区分が、マネジメント/システム/データ・AIの3区分に集約されます。
応用情報の廃止に関するQ&A
Q1. 取得済みの応用情報の合格は無効になりますか?
A. 無効にはならないと考えてよいでしょう。一般に、IPAの試験の合格実績は、試験制度が変わっても失効しません。これまでにも試験区分の名称変更や統廃合は何度も行われてきましたが、過去の合格者は引き続きその実績を名乗ることができています。
履歴書などに書く際は、合格した時点の正式名称である「応用情報技術者試験」と記載するのが基本です。
Q2. 会社の資格手当や昇格要件はどうなりますか?
A. これは勤務先の制度によって異なります。新試験をどう扱うかは各社がこれから決めていくことになるため、人事制度を担当する部署に確認するのが確実です。
一般的には、すでに支給されている手当がすぐに打ち切られるケースは考えにくいでしょう。ただし、これから新たに取得する人向けの対象資格は、高度情報技術試験へ切り替わっていく可能性があります。
Q3. 応用情報の勉強中です。このまま続けるべきですか?
A. 2026年の試験に間に合うのであれば、受験して合格を目指す価値は十分にあります。理由は次の3つです。
- 合格すれば「応用情報技術者試験 合格」という実績が残る
- 学習内容が高度情報技術試験の科目A(共通知識)と重なる部分が多い
- 合格後に高度情報技術試験へ進む際の土台になる
一方、2026年の受験が難しい場合は、高度情報技術試験のシラバスに切り替えて学習するほうが効率的です。
Q4. 応用情報の合格者は、高度情報技術試験で免除を受けられますか?
A. 経済産業省の省令案では、応用情報・旧高度試験の合格者に関する経過措置が示されています。2029年6月30日までの措置として、合格発表から2年以内であれば、高度情報技術試験の共通的知識が免除対象になるとされています。
つまり、2025〜2026年ごろに合格した方は、免除の期限内に高度情報技術試験を受ける戦略も検討できます。詳しい条件は高度情報技術試験の免除制度で整理しています。最終的な運用はIPAの公式発表で確認してください。
Q5. 応用情報の参考書や過去問は、高度情報技術試験の対策に使えますか?
A. 科目A(共通知識)の基礎固めには、ある程度活用できると考えられます。特に次の分野は重なりが大きいです。
| 応用情報の分野 | 高度情報技術試験 科目Aの対応分野(大分類) |
|---|---|
| セキュリティ | 大分類6:セキュリティ(重点分野) |
| ネットワーク・データベース | 大分類4:デジタル技術 |
| プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント | 大分類1:ビジネス変革 |
| 経営戦略・企業活動 | 大分類1:ビジネス変革/大分類3:組織活動 |
| 法務 | 大分類7:倫理・コンプライアンス |
ただし、高度情報技術試験には生成AI・AIエージェント・AI倫理など、応用情報ではほとんど扱われなかったテーマが多く含まれます。これらは新しいシラバスに沿って補強する必要があります。科目Aの範囲は科目Aシラバスの解説、教材選びは高度情報技術試験の参考書を参考にしてください。
Q6. 高度試験もなくなるのですか?
A. はい。高度情報処理技術者試験も、応用情報とあわせて高度情報技術試験へ再編される対象です。一方で、情報処理安全確保支援士試験は継続し、高度情報技術試験の科目A-1とシラバスが共通化されています。旧高度試験からどの区分へ進むのが自然かは旧高度試験の移行先まとめをご覧ください。
Q7. 応用情報から高度情報技術試験になって、何が変わり、何が変わらないのですか?
A. 変わるのは、試験の名称と体系、出題の重心(技術知識中心から、共通知識+区分ごとの実務判断へ)、そしてAI・セキュリティ・DXといった新しいテーマの比重です。
変わらないのは、IPAが実施する国家試験であること、中堅以上のIT人材を対象としていること、経営・マネジメント・技術を横断する幅広い知識が問われることです。応用情報で学んだ内容は科目Aと多く重なるため、これまでの学習が無駄になるわけではありません。
立場別のおすすめアクション
| あなたの立場 | おすすめのアクション |
|---|---|
| 応用情報に合格済み | 合格実績はそのまま有効。次のステップとして高度情報技術試験の区分を検討 |
| 2026年に応用情報を受験予定 | そのまま合格を目指し、合格後にAIなど新テーマを補強 |
| これから資格学習を始める | 最初から高度情報技術試験のシラバスで学習を開始 |
| 高度試験を目指していた | 志望分野に近い区分を選び、科目Bの対策を開始 |
| 人事・教育担当 | 資格手当・昇格要件の対象資格の見直しを検討 |
高度試験を目指していた方の区分選びは、おおむね次のように考えると自然です(当サイトによる整理であり、正式な対応関係はIPAの発表をご確認ください)。
| 目指していた高度試験・キャリア | 近い高度情報技術試験の区分 |
|---|---|
| プロジェクトマネージャ、ITサービスマネージャ、システム監査技術者 | マネジメント区分 |
| システムアーキテクト、ネットワーク、データベース、エンベデッド | システム区分 |
| データ分析・AI関連のキャリア | データ・AI区分 |
高度情報技術試験へスムーズに移行するための3ステップ
ステップ1:科目A(共通知識)の全体像をつかむ
応用情報と重なる部分、新しく加わった部分を把握するところから始めます。当サイトの科目A-1 入門学習(全8ユニット)では、シラバス案に沿って範囲を順に学べます。
ステップ2:受験区分の学習ロードマップを確認する
区分が決まったら、マネジメント区分 学習ロードマップやシステム区分 学習ロードマップで学習の順番を確認しましょう。区分ごとの対策はマネジメント試験の対策、システム試験の出題範囲も参考になります。
ステップ3:問題演習で理解度をチェックする
インプットだけでなく、実際に問題を解いて理解度を確かめることが大切です。IPAのサンプル問題の解説で出題形式をつかんだら、演習を重ねていきましょう。
まとめ
- 応用情報技術者試験は2026年までの実施をもって廃止され、高度試験とあわせて高度情報技術試験へ再編される
- 高度情報技術試験は2027年夏〜秋ごろ開始予定で、マネジメント/システム/データ・AIの3区分
- 一般にIPA試験の合格実績は失効しないため、応用情報の合格は引き続き有効な実績になる
- 2029年6月30日までの経過措置により、合格発表から2年以内なら共通的知識の免除対象になる
- 資格手当などの扱いは勤務先次第なので、人事担当への確認が確実
- 応用情報の学習内容は科目Aと重なる部分が多い一方、AI関連など新テーマは補強が必要
廃止のニュースは不安に感じるかもしれませんが、見方を変えれば、新試験の第1回に向けて今から準備を始められるチャンスでもあります。
参考リンク
- IPA 試験制度の見直しについて
- IPA 新試験制度のサンプル問題
- IPA 科目A-1(共通知識)シラバス(案)Ver.0.1(PDF)
- e-Gov パブリック・コメント「情報処理の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」(PDF)
応用情報からの移行準備は、問題を解きながら進めるのが近道です。IPA公式サンプル問題とオリジナル問題を解説付きで無料公開している高度情報技術試験 問題演習道場で、さっそく実力を確かめてみてください。ログインすれば途中から再開することもできます。